シーカヤックスクール&ショートツーリングにトライ! (2001年5月4日)

これまで、ファルトやインフレータブル、シットオントップと、いくつかのフネに乗ってはいるが、かっこよいスタイルにあこがれてかねてから一度乗ってみたかったシーカヤックに、このゴールデンウイークとうとう乗ることができた。

 

南伊豆妻良へ

当日は、ナライの風が残るとの予報で集合場所は南伊豆の妻良(子浦の浜)となる。予報は晴れだが、海は雲に覆われていた。風は無く、海面は穏やかだ。講師は伊豆諸島島渡りの第一人者で、シーカヤック雑誌でも時々登場する弓ヶ浜カヌースクールの塩島さんだ。早速フネを運んで準備に取り掛かる。フネはポリ艇かと思いきや、カーボンやFRPのフネでかっこいい。パドルもカーボンで軽い。まずは乗り降りやパドリングの練習だ。いざ乗ってみるとフネは安定していて、スーッとまっすぐ進むものの、なかなか曲がらない。ラダー操作での大きな旋回はできてもパドルを漕いでフネを回すには思ったより力がいる。そのときにフネを傾けるといいのだが、それがなかなか難しい。(自分はロールもできないのでしょうがないが)

 

ショートツーリングに出発だ

練習もそこそこにショートツーリングに出発だ。今日は西海岸側にシーカヤッカーが集まっているようで、駐車場や浜でも何艇かのフネを見た。去年お会いした伊豆で初めてシーカヤックを始めたといわれるノウマンディッククラブの佐藤さんも見かけた。 妻良の湾の右側よりから湾外に出ると、独特の柱状節理の景観や海食洞がたくさんある。塩島さんの案内のもと、ゆっくり漕ぎながら色々な穴に入ることとなる。今日は波が穏やかなので、奥まで安心して入れるようだ。フネの長さを忘れて調子に乗って奥に入っていくと狭くなって引っかかるので注意!

 不揃いな柱状節理

妻良を横断 

一旦妻良の大きな湾を南へ横切り、対岸へ移動する。その頃から空に晴れ間が覗く。そしてすぐに快晴となった。天気ひとつで気分も盛り上がるのだ。やたら気持ちがいい。さらに洞窟や柱状節理の断崖を回る。柱状節理の景観は岩に描かれた大自然のアートのようだ。陸からは想像できないすばらしい景色が楽しめる。洞窟には赤い珊瑚のようなポリープがたくさん水面近くについている。岸近くをゆっくり回ると、水がかなりきれいで、ウニや海藻もよく見える。まだ春のためか色とりどりの魚は見つけられなかったが、直径50センチ以上あろうか巨大なクラゲが浮いていた。昼は妻良の湾外の浜辺で休憩だ。このあたりは夏には渡し舟で海水浴に来る人が多いらしいが、今は無人の浜辺を独占できるのだ。シーカヤックで南伊豆を2泊3日程度のツーリングできるのだが、今日も、ツーリング途中の小雀さんが率いる10人くらいのグループとこの浜辺でいっしょになった。

 

外海へ

午後はさらに外海へ漕ぎ始めた。途中洞窟のトンネルがあって、そこを抜けると小さな島がある。その島は一見何の変哲も無い島だが、岩の隙間から入ると中が洞窟になっているそうだ。塩島さんが様子を見に中に入いった。奥でゴンとにぶい音が聞こえる。何かと思うと塩島さんのヘルメットが岩にあたる音だった。結局今回は潮が満ちていて高さが足りず入いれなかった。夜光虫も見れるそうだが、残念だ。

  洞窟のトンネル   

このまましばらく岸べたを漕ぐと少し大きな島の間にクルーザーヨットが浮かんでいた。「島」と「ヨット」で景色的にいい感じだ。潜っている人がいたが、何やら調査をしているように見えた。岸と島の間を進むと、そこからは崖がずっと続く。ここは去年訪れたランカウイ島に似たような場所で、たくさんの鷲にひっそりと見張られている気がする。聞くとここには魚食性の鷹がいるらしい。風や波がほとんど無いのですごく楽にここまで来れたが、うねりが強いと怖そうなところだ。上陸できるエスケープポイントもない。今日のショートツーリングはここでUターンだ。帰りは波勝崎を見ながら漕ぎ進む。

 奥に見えるのが波勝崎

 

レスキューも練習しないと
  

途中小さな島に囲われた穏やかな場所で、レスキューの練習だ。1艇がもう1艇をサポートしながらデッキに乗り込む。波が無いのでスムーズにできるが、荒れた海面だとどれほど難しいだろうか? 話は変わるが、ウインドサーフィンはいったん沈するとウオータースタートといって、海面に落ちたセールに風をはらませ、風の力で自分を持ち上げボードの上に起き上がるのだが、風が強くうねりも大きいと、ボードも押さえ込めず、また、風が波に遮られ、なかなか立ち上がれないときがある。立ち上がった瞬間に風にあおられ、前に吹っ飛ばされる。そしてまたセールとボードの向きを整えてウオータースタートのスタンバイをし、タイミングを待つ。その間立ち泳ぎをしているが、もがいている時にフィンで足を切ることもあるし、そうこうしている間に力尽き、流されることもある。カヤックも沈して水が中にたまった状態で、波と強風の中リカバリーするのはかなりの体力と技量がいるだろう。しかし、今日はもちろんそんなことは一切心配無用のショートツーリングとなった。

インフレータブルで少し外海に出ると、うねりと風でかなり恐怖感を感じてしまうが、シーカヤックではその恐怖感は少ない。結構安定しているし、なんといってもスピードが違う。インフレータブルの倍以上速いし、スピードも落ちにくく、パドリングも楽なのだ。 しかし、海は状況が変わると、全く別の世界となる。風の影響で急に海面の状況は変わるし、その予想は難しい。潮の流れも川のように速いこともあるようだ。ウインドサーフィンをやっていても、風が急に吹き上がり風向きが90度変わるだけでも、岸に戻れないことがある。まだ岸の近くでやっている分にはなんとか泳いで戻れるが、沖でいきなり状況が変わると本当に怖いだろう。海の危険性はどのマリンスポーツにも言えることだが、シーカヤックも海の状況さえよければ陸から見ることのできない知られざる世界、景色が堪能でき、すごく快適なツーリングが楽しめそうだ。いずれ自分もツーリングに出てみたい。

吉田の海 快晴の吉田

  中木の夕暮れ   大根島

 

はるか数千年昔、グリーンランドやアリューシャンなどの極北の厳冬の海で獣の皮に獣脂を塗って作ったスキンカヤックを狩に使っていた。そのカヤックが新しい素材で現代に蘇ったという長い歴史を物語るシーカヤック。なんかロマンを感じてしまう。いつかは所有したい。そう思うフネである。 

最後に、今回ご指導いただいた塩島敏明さんに感謝いたします。 塩島さんの弓ヶ浜カヌースクールのページはこちら
ツーリングガイドも乗っています。



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