新緑の大井川を貸切だ!(2001.5.12〜13)

 

那珂川では物足りない初心者のためのツアーという企画だったが、初心者現れず。見事に晴れ渡った空に新緑がまぶしい。水量が心配だった川も、なんとかダッキーを浮かせることはできて一安心。上流からのスタートは断念し、初日は下流、2日目は中流を下ったのだが、川自体は気田川を易しくしたような感じだが、河原の広さと雰囲気の良い景色は特筆ものだ。カヌーイストも釣り人もいない静かな川を我ら8人が貸しきって、極楽ツーリングを楽しんだのだった!

今回はその道中?を紹介



1日目(塩郷〜笹間渡 14キロ)

心配していた春の少雨で、今週も3日前に少し降った程度でかなり水量がなさそうだ。果たして下れるのか不安だった。清水インターから茶畑だらけの山を越え、川根両国に到着。川は前回より数十センチは浅い。これ以上の上流は石がむき出しで下れなさそうなので、とりあえず上流の奥泉の様子をみつつUターンして、水量の安定している塩郷ダムの下まで移動した。ダムからの放流はやはり前回より少ない。前回は横の壁からも放水があったのだが。今日は最低水量のようだ。まあ、今日下れれば大雨の増水時以外はいつでも下れるということだし、下ることにした。


大井川鉄道の車窓

 
両国吊り橋キャンプ場
大きな岩のすぐ右の小さな岩が前回(左写真)は隠れていたが今回(右)は頭を出している

今日のコースは大井川鉄道でいうと、たった2駅の間。直線にしてみればわずかだが、川は大きく蛇行しているのでスタートからゴール予定の笹間渡まで15キロはあろうか。塩郷には長い吊り橋が掛かっている。大井川は吊り橋も有名でなんと30近く?吊り橋があるらしく、吊り橋マップなるものも存在するのだ。この橋は長いほうで、道路の上を越えるのもめずらしいいこともあって、観光客もよく渡るポイントだ。定員も4名と書かれ、それ以上が渡る場合は渡らずに待っていなくてはならない。帰りにいざ渡ってみると高さもあって結構揺れる。渡り終わってからも地面が揺れている感じが妙に気持ち悪かったが一度渡ってみることをお奨めする。


奥に見えるのが塩郷ダム

塩郷の吊り橋

昼過ぎにダムの下をスタート。すぐにSLと遭遇した。僕らは山間を大きくカーブしながら鉄道や道路から離れていった。そこから先は我々の大井川貸切が続く。水はかなり透明で、気田川よりもきれいだ。広大な川原と広々とした景色の中、水だけは細くゆっくりと流れていく。滑らかな斜面を下っていく感じがする。瀬は少ないもののカーブのたびに岩が正面に立ちはだかる。水が多いときは面白く、そして緊張するだろう。途中途中で水面が広がるとライニングダウンを強いられる。しかし、我々はダッキーだ。底擦りしながらも、パドリングで強引に進む。結局ライニングダウンは5回くらいだったろうか。ファルトで行けば明日は無いだろう。


SLに遭遇

 川は大きくカーブ 

 

  広大な河原  

 

昭和橋手前のブロッック

 


ライニングダウンと浅瀬

後半の昭和橋手前には最近できたのだろうか、消波ブロックと岩のクランク状のコースができていた。いくつもの大きな山間のカーブを越え、ゆっくりと高度が下がっていくのを感じながら、結局今回は誰も沈することなく、ゴールの笹間渡へたどり着いた。もう少し早くスタートしていれば、後5キロ以上先の大和田あたりまで漕げたのだが。スタートが昼を過ぎていたので、ここで終了し、川根両国のつり橋キャンプ場へ移動した。ここは奥泉から下泉までのコースの途中にあって、キャンプには丁度いい。キャンプ場からはおもちゃのような井川鉄道が見られる。そばには両国橋があるが、夜は車も通らず静かな場所だ。

 

 


2日目(川根両国〜駿河徳山 14キロ)

 


川根両国のつりばしキャンプ場


両国の吊り橋と井川鉄道

キャンプ場の朝は暑かった。この季節は晴れれば、水遊びには最高の陽気となる。今日も快晴だ。水位は前回の比べて明らかに少ない。どこまで浅いかわからないが、とりあえず漕ぎ出した。両国橋の先からいきなりのライニングダウン。一駅先の千頭までしばらくは道路沿いに流れる。千頭に近づくと、河原が水路のように狭くなってきた。ここは河川工事のためか、人工的な感じがする。砂利の壁にはさまれた水路を下っていくので左右は壁しか見えない。作られたカヌーコースのようだし、これはこれで面白いのだ。水は昨日以上に澄んでいる。川底の砂利がフネからでもくっきり見え、フネの影が川の底に映し出される。錦川と同等といえるだろう。ただし、魚は小さいのばかりで、あまりいなさそうだ。鳥のさえずりもうるさいくらいだ。ヒヨドリがピヨピヨとないているようだ。セキレイもいる。

 千頭近くの水路のような川 


浅いのでブロックもくっきり顔を出す


今日はお昼にSLを拝む

青部の手前で昼の休憩をとる。青部の鉄道橋も工事のため、かなり河原が変わっていた。前回昼に休んだ橋の先の右岸の河原もほとんど無くなっている。今日のコースは昨日よりも水深があり、ライニングダウンもほとんど無い快適なパドリングとなった。後半は6種類のインフレータブル艇をとっかえひっかえ試乗し、存分に楽しむことができた。今日でまた一人ダッキーオーナーが誕生するであろう。赤い万世橋を超えるとすぐにゴールの宗徳橋だ。

大井川はなぜ人気が無いのか?これは多分水量が少ないからなのだろう。カヌー雑誌でもすぐにフネから降りれるカナディアンカヌーでの川下りを推奨している。確かにいつでもファルトで漕げる川ではない。そして、近くにはあの清流で有名な気田川がある。水量やコースの難易度で気田川の方が人気があるので、皆そこへ流れるんだろう。しかし、自分は大井川の雰囲気の方が好きかもしれない。途中塩郷ダムで遮られているとはいえ、上流の奥泉から家山あたりまで全工程60キロとさらに下流まで漕いでいける。3日間では漕ぎきれないところなのだ。川原は広大で、人も少ない。そして気田川は狭いために昼しか太陽があたらないが、大井川は夕方でも日差しがあり明るいところもいい。ダッキーで行くことを前提に考えれば、初心者を連れて楽しめるいい川である。上流の奥泉あたりはポリ艇でも遊べ、平成15年には静岡国体カヌー競技会が開催予定だそうだ。これから徐々に人気が出るかもしれない。


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